お問い合わせ
2026 / 09 / 15 ベストプラクティス

PDFをAI検索で読み取れないときは?RAG導入前の文書チェック

Lead

スキャンPDF、表、長い文書をRAGで検索する前に、何を確認する?文字抽出・版管理・権限・引用元を点検する表と、読み取りと検索の失敗を分ける確認手順を紹介します。

PDFをAI検索に使うときは、文字を取り出せるか、必要な箇所が検索に出るか、その箇所を根拠に回答できるかを分けて確認してください。「PDFが読めない」という結果だけでは、どこを直すべきか決まりません。

この記事では、税理士・弁護士などの事務所が所内文書をRAGに登録する前の確認手順を提案します。RAGは検索した情報を生成AIの回答に利用する構成です。MicrosoftのAzure AI Search公式資料も、文書の分割、画像からの抽出、検索方式、アクセス制御を別の設計項目として扱っています。RAGの概要

スキャンPDFはAI検索に使えないのか

スキャンPDFを一律に対象外にする必要はありません。画像から文字を取り出すOCRや画像解析に対応した構成もあります。Azure AI SearchのOCRスキルは画像中の印刷文字・手書き文字を認識し、PDFに埋め込まれた画像も扱います。これは特定製品の仕様であり、利用中のAI検索が同じ処理を行うかは別途確認が必要です。OCRスキルの仕様

まず検証に使ってよいPDFを選び、抽出された本文を元のページと並べて確認します。PDF閲覧ソフトで文字を選択できるかは手がかりですが、それだけでAI検索側の処理結果までは確認できません。

文書の種類ごとに何を点検するか

以下は取り込み可否を決めるための確認表です。「向く・向かない」をファイル形式だけで固定せず、実際の抽出結果と検索結果を書き込みます。

文書まず確認するもの問題があったときの対応案
スキャンPDF・FAX抽出後の氏名、日付、金額と元画像の一致OCRの設定や原稿品質を見直し、重要箇所を再照合する
テキストPDF・Word見出しと本文の対応、ページや出典への参照見出しを補い、元文書へ戻れる情報を残す
表を含む資料行見出し、列見出し、単位、注記が保たれているか表の説明を追加するか、表を扱える抽出方法で試す
長い規程・合冊資料質問に必要な箇所が検索結果に含まれるか章や意味のまとまりで分割し、同じ質問で比較する
旧版と新版がある資料対象年度、施行日、現行版の判別版の情報と検索対象の条件を定める
顧問先別の資料担当者以外の検索結果に出ないか取り込み前に対象範囲とアクセス制御を確認する

「取り込めたのに答えられない」をどう切り分けるか

元文書で正解箇所を確かめられる質問を用意し、次の順に調べます。

  1. 読み取りを確認する。 正解に必要な文字・表・注記が、取り込み後の内容に存在するかを見ます。欠けていれば、回答への指示を変える前に抽出方法を直します。
  2. 検索を確認する。 抽出できているのに検索結果へ出ない場合は、分割位置、検索語、版や権限のフィルターを確認します。候補から外れた理由を追える構成を選んでください。
  3. 回答を確認する。 必要な箇所を取得できた場合は、回答と引用元が一致するかを見ます。資料に書かれていない結論を足していないかも確認します。
  4. 回答しない場合を確認する。 正解が資料にない質問と、権限のない資料についての質問を加えます。確認できないことを明示し、閲覧できない内容を出さないかを点検します。

記録は「質問/正解の文書と箇所/抽出結果/検索結果/回答/次に直す箇所」の列で残すと、次の試用でも同じ条件を比較できます。正答率の目標値は業務側で決め、少数の成功例だけで全資料へ広げないようにします。

文書を全部整理してからでなければ始められないか

初回は、入力許可を確認できる一つの業務・文書群に絞る進め方を提案します。最新の所内手順などから対象を選び、抽出と検索の不具合を直してから範囲を広げてください。

過去の原本を上書きして整理する必要はありません。元文書の所在と版を残したうえで、検索に渡す範囲や説明を整えます。運用担当者、更新時の反映手順、検索から外す条件も一緒に決めておきます。

読み取れる文書なら、そのまま入力してよいか

技術的な読み取りの確認とは別に、入力許可を確認してください。顧問先名を削るだけで十分と決めず、案件内容や添付に含まれる情報も点検します。試用には公開資料や検証用データを使い、実データへ広げる前に契約と閲覧権限を確認する方法があります。

入力前の確認にはAI導入のセキュリティチェックリスト、導入範囲の整理には税理士事務所のAI導入ガイドを使ってください。

Author · 著者

士業AI